2026/09/03 23:09

「最近、歩くと膝が痛い」
「階段の上り下りがつらい」
「長く歩いたあとに膝が気になる」
そんなとき、どうしても気になるのは「膝」だと思います。
もちろん、痛みがある場所を確認することは大切です。
痛みが続いていたり、腫れや強い症状があったりする場合には、まず医療機関で適切な診断・治療を受けることが大前提。
ただ、義肢装具士として身体を診るとき、僕は
「膝が痛い=膝だけを診ればいい」
とは考えていません。
なぜなら、
「痛い場所」と「そこに負担を生み出しているもの」が、必ずしも同じとは限らない
からです。
膝が痛くても、僕は足元から診ていきます
例えば、膝に困りごとがある方を診るとします。
もちろん膝の状態も確認します。
でも、それだけではありません。
足の形や状態はどうなのか?
足首はどう動いているのか?
股関節は?
基本姿勢は?
立ったとき、どこに体重が乗っているのか?
歩いたとき、重心はどう移動しているのか?
どんな靴を履いているのか?
仕事や生活では、どんな身体の使い方をしているのか?
過去にケガをしていないか?
そんなところまで少しずつ広げながら、その人の身体を診ていきます。
足元が変われば、その上にも影響する
足は、身体の中で地面と接している場所です。
その上には足首があり、膝があり、股関節があり、骨盤があります。
僕たちは、それらをバラバラに使って歩いているわけではありません。
足が地面に着く。
体重が移動する。
足首が動く。
膝が動く。
股関節が動く。
そして身体全体が前へ進んでいく。
だからこそ、足元の状態や身体の使い方が変われば、その上にある関節への負担のかかり方も変わる可能性があります。
反対に、膝などの関節の状態が変わったことで、歩き方が変化していることもあります。
僕がよく言う、
「卵が先か、鶏が先か」
です。
「これが原因!」と一つに決めつけない
身体はそんなに単純ではありません。
足。
関節。
筋肉や靭帯。
姿勢。
歩き方。
重心バランス。
靴。
生活環境。
過去のケガ。
その日の身体のコンディション。
いろいろな要素がグラデーションのようにつながっています。
だから、
「膝が痛いから、原因はここ!」
と最初から一つに決めつけるのではなく、
「この人の身体では、今何が起きているんだろう?」
と考えることを大切にしています。
だから、インソールも「膝痛用」だけでは考えない
これはインソール選びでも同じです。
「膝が痛いから、このインソール」
「偏平足だから、このインソール」
「足をぐねるから、このインソール」
症状や足の特徴は、インソールを考えるうえで大切な情報です。
でも、それだけですべてを決めるわけではありません。
その人の足の状態。
姿勢。
歩き方。
重心バランス。
靴。
そして、日常生活で何をしたいのか。
そこまで考えたうえで、
「この人には、どんなサポートが必要なんだろう?」
を考えていきます。
インソールは身体全体を考えるための一つの道具
僕にとって、インソールは「入れれば全部解決するもの」ではありません。
身体を診た結果、
インソールが必要なこともあれば、
靴を見直した方がいいこともある。
身体のケアが必要なこともある。
トレーニングをした方がいいこともあります。
そして、それらを組み合わせた方がいい場合もあります。
インソールを使う場合にも、
必要なところを必要なだけ支えながら、自分自身の身体にも働いてもらう。
僕はそんな考え方を大切にしています。
インソールが身体のすべてを肩代わりするのではなく、その人自身がより良く立ち、歩き、動くための一つの道具。
だから僕は、インソールを
身体の「再教育ツール」
として考えています。
「どこが痛い?」から「なぜ?」へ
身体に痛みがあれば、そこが気になるのは当然です。
でも、
「どこが痛い?」
の一歩先に、
「なぜ、そこに負担がかかっているんだろう?」
という視点を持ってみる。
すると、足や靴、姿勢、歩き方など、今まで気にしていなかったところに目が向くかもしれません。
身体は、全部つながっています。
だから僕も、足だけ、膝だけ、姿勢だけを見るのではなく、
一人の「ヒト」として身体を診る。
義肢装具士として、これからも大切にしていきたい考え方です👣
あしから先生より
「自分の足がどのタイプなのか分からない」
「今の靴が自分に合っているのか分からない」
「インソールを使ってみたいけど、何を選べばいいか分からない」
そんな方も少なくありません。
だからこそ、症状だけで決めるのではなく、
足・姿勢・歩き方・靴などを含めて、自分の身体を知ることから。
そこから、自分に必要なものを考えてみてください。
インソールにも、まず試してみたい方向けのものから、足の特徴に合わせて選ぶものまで、それぞれ役割があります。
「何を買えばいい?」の前に、「自分の身体はどうなっている?」から。
それが、僕の考えるインソール選びです。
